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(バックナンバー)

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パヤタス・カシグラハンって?

ゴミ山とともに生きる

【パヤタス関連資料】

「スモーキーバレーの母たち」(DVD) 1997年作成  

日本

フィリピン

パヤタス

平均寿命

84歳

65歳

50歳

乳幼児死亡率

3.6人/1000人

24人/1000人

125人/1000人

一家族あたりの平均所得

42万円/月

9,140円/月

5,600円/月

小学校卒業率

100%

70%

60%

失業率

5.6%(6.5%注1)

12%(15%)

60%

( )は不完全失業率

パヤタス概要

■パヤタス
7つのバランガイによって構成される、ケソン市に属する地区名。
人口 76,000人。

■約束の地
パヤタスの中でも、ソルトが支援活動を行っているパヤタス地区第二区域はもともと、マニラ首都圏内の別の地区から立ち退きさせられたスラム住民のための再定住地でした。1986年に行われた国税庁ビル建設を中心とする再開発のために、当時のケソン市長シモン氏がパヤタス地区第二区域を再定住地として指定、そのためこの土地は
      「ルパン・パンガコ(約束の地)」
と呼ばれるようになりました。

その後も、マニラで住む場所を失った人々はもちろん、地方農村から仕事を求めてやってきた多くの貧しい人々がこの地区に移住してきています。

■ゴミ捨て場
パヤタス地区内にあるゴミ投棄場の面積は17ヘクタール、ゴミ捨ては1970年初頭より始まりました。90年以降ゴミ投棄量が増大し、現在はケソン市から出るゴミが1日1600トン(5トントラック320台分程度)が運び込まれています。

■ゴミ捨てに依存して生活してきた人々
パヤタス地区の中でも、ゴミ山の周囲を囲むようにして建つ簡素な家々は、そのゴミ山でゴミを拾って換金することで生活しているスカベンジャーの家々です。

彼ら彼女らの多くは、フィリピンで最も貧しい貧農貧漁村地帯、ビコール地方、東ビサヤ地方の出身で、現在、パヤタス地区で働くスカベンジャーの正確な数は把握されていませんが(週末のみ働く学生スカベンジャー、他の仕事がない時だけゴミ山で働くパートタイムスカベンジャーなどがあり、その数は常に流動的)、少なくとも1,000人以上が常にゴミを拾って働いています。

90年初頭のスカベンジャーの数は現在の半数ほどだったと言われていますが、95年のスモーキーマウンテン(マニラ市トンド)閉鎖、97年の通貨危機を契機に大きく増加しました。2000年7月10日のゴミ山崩落事故前は約3,000人が働いていたと言われています。

■ゴミ山崩れ被害 2000年7月10日朝8時
降り続いた雨により、パヤタス第二区域プロック21間近のゴミ山が直線距離にして約100m、高さ50mに渡って崩れ、約2ヘクタールの地域を飲み込みました。その地域には約300件の家屋と、2,000人前後の人々が住んでいました。当日午前4時ごろ、同じ地域を流れる川が増水し、避難した家族もありました。

当日はジープニーストライキが予定されており、小学校・高校は休校となっており、平常では居ないはずの多くの子供たちが家に居て、犠牲者となりました。
<被害者数> 死亡者数    700人

■再定住地
フィリピン政府は、被災者の再定住地として、パヤタスから約10キロ離れたところにあるリサール州モンタルバン町カシグラハンの再定住地を指定、411家族が移住しました。カシグラハンはゴミ山から離れており、スカベンジャーにとっての生活の糧はありません。移住したその日から食べるものに困り、「避難所に戻りたい」という人が殆どでした。
*再定住地であるカシグラハンは現在、ソルトの第二の活動地となっています。

■ゴミ捨ての再開
政府は、2000年7月18日をもって、パヤタスのゴミ捨て場を閉鎖すると決定しましたが、2000年11月、ケソン市は正式にケソン市から出るゴミの投棄を、崩壊したゴミ山のすぐ横のゴミ山で行うことを決定しました。これが2007年1月までゴミ投棄が続いてきたパヤタスの第二のゴミ山です。

被災後もパヤタスに残ったスカベンジャーはもちろん、再定住地に移住したスカベンジャーも、このパヤタスの新しいゴミ山に通ってスカベンジングを続けました。それ以外に、生活の糧が無かったからです。

カシグラハン概要

■カシグラハン
リサール州サンホセ地区カシグラハン・ビレッジ1。総面積、85.70ヘクタール。
住宅、建物面積:76.46ヘクタール、オープン面積: 9.24ヘクタール。パヤタスで2000年に起こったゴミ山崩れ被災家族の再定住地であるとともに、マニラ首都圏内の都市貧困地区から立ち退きさせられた多くの家族が移り住んでくる再定住地ともなっています(カシグラハンを含むサンホセ地区の人口:31,360人/2003年)。首都圏の様々な地区からやってきた人々が寄せ集められた地区とも言え、パヤタスに比べるとコミュニティとしての住民間の一体感が生まれにくい環境です。

■生活の糧
政府が建てたコンクリート作りの住居が整然と立ち並ぶカシグラハンは、清潔で整備された環境のため貧しさはあまり感じられません。しかし実際には、働き口の比較的多い首都圏から離れていること、スカベンジャーとして働けるゴミ山から離れていることから、パヤタスに比べてもより一層、仕事の機会が少なく、収入の少ない家庭が多い地域です。政府機関(国家住宅局/NHA)が発表した2003年の統計では、一家の月平均収入はP4000-P5000となっていますが、ソルトが支援する家庭の収入はそれを下回っています。地域の最貧層の人々の職業は、サイドカー運転手、スカベンジャー、ベンダー(行商)ですが、いずれの場合も一日の収入はP50〜150と、家族全員が十分な食事をとるのにも苦労する場合が少なくありません。スカベンジャーの場合は、パヤタスのゴミ山に通う人もあれば、リサール州モンタルバン町サンイシドロ地区にあるゴミ山に通っている人もいます。

■サンイシドロのゴミ山とカシグラハンのスカベンジャー
カシグラハンに暮らすスカベンジャーの多くは、サンイシドロ地区にあるゴミ山でゴミを拾って働いています。14ヘクタールのこのゴミ山は、現在一日1700トンものゴミを受け入れており、パヤタスよりも大規模なゴミ山です。このゴミ山に登録されているスカベンジャーの数は2070人です。

パヤタスのゴミ山は2007年中に閉鎖するという計画があり、パヤタス閉鎖後にはより一層、サンイシドロに多くのゴミが運び込まれることになるのではないかと考えられています。

カシグラハン在住のスカベンジャーにとっては、このサンイシドロのゴミ山に行くためにも交通費がかかり、パヤタス在住のスカベンジャーに比べると実収入は少ないのが現状です。

■カシグラハンでの教育、医療
同統計によると、住民の教育水準は、大学レベル−10.3%、小学校−29.1%、高校−37.3%、デイケア−20.1%となっています。デイケアセンターでの教育は小学校入学前の子どもたちのための最低限の読み書きに過ぎず、そのレベルの教育しか受けていない人々が20.1%もいるという事実は、カシグラハンの貧困を反映していると言えるでしょう。また、経済的な理由からデイケアセンターにさえ通えない子どもたちも存在しており、ソルトのデイケアセンターは家庭の経済状況によっては学費を免除するといった対策をとることで、子どもたちの未来を閉ざしてしまわないように努力しています。

■モンタルバンとその近辺のゴミ・ダンプサイトの争い
現在(2008年1月)リサール州モンタルバン(現町名ロドリゲス)のダンプサイトをめぐって、モンタルバンの町長とリサール州の知事との間での激しい非難の応酬が行われています。この争いは過去に何回もありました。

 モンタルバン町はケソンシティのパヤタスからさらに北東に進んだところにある、人口15万人の町です。このモンタルバン町のバランガイ サンイシドロにあるダンプサイトは、現在、マニラ首都圏からのゴミを受け入れており、その量は1日1600トンにのぼっていて、パヤタスの1500トンを上回るフィリピン最大のダンプサイトになっています。(注1)

ところが、昨年リサール州当局が、新たに19ヘクタールのダンプサイトを造成し、投棄場として指定したために、モンタルバン町当局との間で対立が起こりました。州当局が新たに造成したダンプサイトは、International SWIM.incが請け負っているもので、同じくバランガイ サンイシドロにあります。(注2)

町長側は、町の運営しているダンプサイトは環境基準、衛生基準に適合したダンプサイトであり、まだ空き容量は十分にある、と主張しています。そして、州のダンプサイトは環境基準に適合していない、と批判しています。

これに対して州知事側は、モンタルバン町のダンプサイトはもう満杯で危険になっている、として州の造成したダンプサイトに捨てるように指示しています。この対立は、昨年8月、モンタルバン町側が、州のダンプサイトに入ろうとするトラックを実力で阻止するなどの場面もありました。

最終的に、環境資源省が乗り出し、リサール州当局のダンプサイトについて環境基準に適合している、という判断を下したために、州のダンプサイトも投棄場として認められるようになりました。こうした対立の背景にあるのは、ゴミの投棄から入る収入の大きさです。トラック1台あたり800ペソ(昨年7月、さらに1000ペソへの値上げの申請を出している)の手数料を徴収しているわけで、1日約500台のトラックが来るので、40万ペソ程度の手数料が入ります。月には1200万ペソ程度、そして1年では1億5000万ペソの粗収入になります。例として、比較的財政規模の大きい州の年間予算が約10億ペソですから、モンタルバンダンプサイトの収入規模の大きさがわかります。

パヤタスのダンプサイトの場合、すでに、環境基準に違反しているために閉鎖命令が出ているのですが, ケソンシティのベルモンテ市長は他市町村への移転を渋っているように見えます。できればパヤタスのダンプサイトの拡張で乗り切りたい、という心理 だろうと思われます。 以上、モンタルバンのダンプサイト問題の概要です。

ソルト・マニラ事務局長 石川 雅国

(注1) 行政区域としてのバランガイ パヤタスとモンタルバン町は、隣接しています。しかし、パヤタスのダンプサイトとモンタルバンのダンプサイトは15kmほど離れています。

(注2) モンタルバンの町当局のダンプサイトとリサール州当局のダンプサイトは、1kmしか離れていません。